「人と同じことをしたってダメ」と言う人がいます。
独自性がないとか。オリジナリティがないとか。それでは競争に勝てないとか。
でも、ちょっと立ち止まって考えて欲しいのです。
自ら考える人は、他人の考えで決めない
実際のところ、いわゆる「オリジナリティのある考え方」をする人は「他と同じかどうか」ということは全く意識しません。
自分の内側から生じる考えや価値観から生まれるものが最終的に他の人の考えや価値観を共有できる結果になることもあります。
むしろ、自分で考える習慣を持っていない「批評家タイプ」「傍観タイプ」の人間ほど、他人の意見や考え方に対して「上から目線」でダメ出ししてくるというパターンが、実際、どれ程多いことか……。
「人と同じことをするな」というのが、「新しさ」「斬新さ」「奇抜さ」を求めることであるならば、むしろ、逆に「他の人がなぜそれをするのか」を考えなければならないのです。
同じことが悪なのではない
物事には「必然」というものがあります。
より優れたもの、より高品質のもの、より研ぎ澄まされたもの、より卓越したものを追求するからこそ、最終的には同じものに行き着くということがあります。
この場合、他と同じことが悪いわけではありません。
他と比べても良いものを作り上げて行くことによって、最終的には同じ頂点に達してしまうということですから、結果的には他に劣ることのないものが出来上がるという意味では重要なポイントです。
どうしてそうなっているかを考えて
例えば誰かのアイディアや商品を見て、「どうしてこういうカタチになっているんだろう」「どうしてこういうルールになっているんだろう」と考えてみると、その「必然」を見抜くことができます。
より安全だから。より低コストだから。より使いやすいから。
様々な理由と要素で構築されたその商品やサービスのアイディアは、最終的には似たようになっているとしても、それが顧客やユーザーにとってベターであるから、ということになる場合も少なくありません。
「人と同じことをするな」という人の傾向
誰かの決めたことを鵜呑みにしたり、「右へ倣え」や「他人の受け売り」をする人に限って、「人と同じことをするな」と言いがち。
自分で考えて人と同じところに行き着くのか、単なる真似事で人と同じところに行き着いているように見えるだけなのか、意外とわからなかったりするんです。
ところが「人と同じことをするな」という人は、なぜでしょう、大抵の場合は後者です。単に周囲に合わせているだけ。
自分で考えて周囲と同じ結論に至っている人は、その過程を経ることの重要性を理解しているので、他の人もそのように思考を働かせる必要があることを受け入れて、相手に対して「人と同じことをするな」とは言わないんです。
むしろ、「この人も同じ結論に至るのかな」という考えを持って、他の人の言動を観察しています。
「人と同じことをするな」という先輩や上司や親は、悲しいかな、実は自分こそがあまり考えて生きていない人間であるということを露呈してしまっているに過ぎません。
***********
ちなみに、「新しさ」「斬新さ」「奇抜さ」を求めるのであれば、「人と違う」ことを考えるのではなく、「相手のため」を追求して行く必要があります。
その点はまた別の機会に。